【資料編】言語化のメカニズムまとめ ――レキシコン、記憶、言語野

言語化力を高める方法

 

このページでは、プレゼンにおいて重要な「言語化の仕組み」についてまとめてみたいと思います。

 

特に、次の3つの観点&トピックから整理していきます。

 

①レキシコン…言語学または認知科学的な観点

②記憶…………心理学的な観点

③言語野………神経学的な観点

 

言語化スキルは、プレゼンにおいて中核的な役割を果たすと思うので、ぜひお読み頂ければ幸いです。

 

このページの内容は、プレゼンを効率的に上達するための実践的な「手掛かり」を得ることを目標とするものです。

 

 

レキシコン  ――認知科学的な観点から

 

言語学・認知科学などの分野で用いられるレキシコン(lexicon)という概念があります。

 

レキシコンは、平たく言えば「語彙のリスト」を意味し、私たちが使用する母語についての言語的な知識の総体を含むものと考えられています。

 

例えば、

 

・特定の語彙Aは、どんな意味と対応するか?

・その語彙は文章中でどんな機能や役割を果たすか?

・どんな文法ルールに従って他の語と結びつき、文章を構成するか?

 

こうした言語的な知識と一緒になった様々な語彙の集まりのことを指します。

 

私たちは普段の会話のなかで、自分のレキシコン(語彙のリスト)から様々な言葉を引き出し、さらに組み合わせることで、言語化のプロセスを進めていきます。

 

プレゼンにおける言語化のプロセスにおいても、このレキシコン(語彙のリスト)が大事な役割を果たします。

 

ということは、裏返せば、もしプレゼンターが持つレキシコン(語彙のリスト)のなかに十分な語彙が含まれていない場合、

 

すなわち、聞き手に対して伝えたいメッセージを表現するための適切な語彙を十分に持っていない場合、言語化のプロセスをスムーズに進められないことになってしまいます。

 

そのため、非常に単純ではありますが、これはプレゼンの上達を目指すうえでとても大事な仕組みではないかと思います。

 

この語彙の量(豊富さ)については、当サイトではライトエリア/ダークエリアという用語を使って捉えるようにしています。

 

 

記憶 ――心理学的な観点から

 

次に、記憶という心理学的な観点から、言語化について考えてみます。

 

心理学の標準的なテキストによると、一般に記憶は3つの段階で進むと考えられています。

 

1.記銘

2.保持

3.想起

 

 

この記憶のプロセスに関連するプレゼンの最大の難関として「言語化ラグ」が挙げられます。

 

言語化ラグとは、適切な言葉や表現が出てこずに言語化が遅れ(ラグ)てしまうことを言います。

 

私は、この言語化ラグが原因でスムーズに話せないことがあるのですが、よく観察してみたところ、こうした時間の遅れ(ラグ)には大きく3つのパターンがあることに気付きました。

 

①意識ラグ…話すべき内容・文脈(コンテクスト)を思い出せず、時間が掛かること。

②置換ラグ…話すべき内容・文脈自体は頭に思い浮かんでいるが、それを適切に表現する言葉がすぐに出てこないラグ。

③発話ラグ…呼吸~発声、特に発話(構音-調音)がうまくいかないことで発生する時間の遅れ

 

この言語化ラグが解消できると、かなりプレゼンの上達が図れるため、講座でもよく扱うようにしています。

 

 

言語野 ――神経学的な観点から

 

最後に、言語野という神経学的な観点から考えてみたいと思います。

 

人間の脳には、全体が協同して働くという全体論的な側面があると同時に、脳の領域(部分)によって働きが異なるという機能局在的な側面があることが知られています。

 

言語野というのは、1861年にブローカによって運動性の部位が発見されて以降、機能局在的な側面が認められている典型的な脳領域です。

 

※脳が全体として働いている、例外的なわかりやすいケースもあります。

Elyse G.’s brain is fabulous. It’s also missing a big chunk
A new project explores interesting brains to better understand neural flexibility.

 

こうした考え方から、何かプレゼンの上達に役立つヒントを得られるでしょうか。

 

私の場合は、飽くまで、プレゼンの上達という実践的な目標のために限定しているのですが、

 

思考・理解する回路

発話する回路

 

こうした脳のネットワークを区別して言語野をイメージするようにしています。

 

というのは、以前に、

 

〇考え事をしたり文章を執筆するときには言語化に困ったことがないのに、

×発話・発声が絡んだ瞬間、まったく言葉が出てこず言語化ができない

 

という経験をずっとしていたからです。

 

そのため、もし普段の生活の中で多くの書籍に目を通していて、脳内に大量の語彙が記憶されていたとしても、

 

プレゼンのように発話・発声が関わるシーンで必ずしも言語化がスムーズにできるとは限らないのだ、と考えるようになりました。

 

恐らく、思索や研究がメインの生活をしていて、私と同じような体験をされている方は少なくないのではないでしょうか。

 

なお、この「十分な知識や語彙を持っていても発話できない」問題は、最終的に

 

「発話を前提とした語彙のインプット&アウトプットの練習」を繰り返し行うことで何とか解決することができたのですが、

 

この方法は講座のなかで詳細にお話ししていくので、楽しみにして頂けたらと思います。

 

・・・

 

脳の言語処理に関する、ウェルニッケ-ゲシュウィンド・モデルという簡略的なモデルがあります。

 

実際には、このモデルは単純過ぎ、また間違いが含まれるため修正が必要であるそうですが、言語野のイメージを膨らませるために役立つかもしれません。

 

このモデルには6つ程の要素が登場します。

 

―――――――――――――――――――――――――

1.視覚・聴覚

感覚ニューロンが視覚情報、聴覚情報を受容し、ウェルニッケ野に情報を送ります。

 

2.ウェルニッケ野(W)

感覚性言語野。側頭葉の一部。ブロードマンの脳地図における22野。

 

3.ブローカ野(Broca’s area)

運動性言語野。前頭葉の一部。ブロードマンの脳地図において44野。

 

4.弓状束(arcuate fasciculus)

ブローカ野とウェルニッケ野を結ぶ神経線維。

 

5.角回(angular gyrus

ブロードマンの脳地図における39野。

 

6.運動野(M)

発話における構音・調音器官を動かすことに関わる。

 

 

こちらの図は、そのモデルを参考に言語野の要素を組み合わせたイメージ図です。

 

(※参考文献;『ベアー コノーズ パラディーソ 神経科学 脳の探求』)

 

―――――――――――――――――――――――――

 

これらの要素によって構成される言語野の働きを考えると、やはり機能局在的な側面は否定できません。

 

それゆえ、プレゼンで重要な「言語化のスキル」を高めるためには、

 

単なる「語彙のインプット」では不十分で、「発話を前提とした語彙のインプット&アウトプット練習」を継続して行うことが重要ではないかと思います。

 

・・・

 

最後に

 

あまり正確ではないかもしれませんが、言語化のプロセスをイメージし、プレゼンの上達に直結しそうなトピックについてまとめてみました。

 

少しでもご参考になれば嬉しいです。

 

 

 

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