スピーチやプレゼンを実践するときに直面する最大の問題の一つは、
「人前で話すときに言葉がすらすら出てこない…」
というものかもしれません。
以下では、この問題を解決するための基本的なアプローチをご紹介します。
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言葉がうまく出てこない本当の理由
「言葉がうまく出てこない」という悩みをお持ちの方は、非常に多くいます。
以前、私もこの問題を抱えていたことがあります。
そして、この問題を解決するために、時間を掛けて様々な分析をしました。
その結果、この問題の背景には、やはり言語化のメカニズムが深く関係していることが分かりました。
当サイトでは、次のような幾つかの記事でその原因を解説しています。
ぜひ併せてお読み下さい。
人前で話すとき言葉が出てこない2つの理由とは?【レキシコン】
プレゼンで言葉が出てこなくなる本当の原因│4つのポイントと解決策を紹介!
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言語化がうまくできない原因には、幾つかのものが挙げられるのですが、すべてを把握するには、少し複雑なところがあります。
※例えば、言葉が出てこない背景には、上記でご紹介している以外にも、生まれつきの障害的な特性、その人がもつ固有の不利な条件が関与しているケースもあります。
そこで、話を分かりやすくするために、まず最初に覚えていただきたいキーワードがあります。
それが、レキシコンというものです。
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レキシコンとは、人間の脳内に含まれる、語彙(ボキャブラリー)の集まりのことを言います。
人間は、読む・書く・話すなど普段から様々な言語活動をしていますが、この過程にレキシコンというものが関わっています。
つまり、言語活動を捉えるための枠組み(モデル)として、考えることができます。
こちらのスライドを参照してください。
このレキシコンがしっかりと機能するように練習をすることで、
話す力を大幅に高めることができます。
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人前で話すとき、言葉が出てくるようになるには
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脳内の大量の語彙の集まり(=レキシコン)をしっかりと使いこなすことができれば、
言葉がうまく出てこない・すらすら話せない問題は、解決することができます。
そのためには、様々な考え方やアプローチが必要なのですが、ここでは最も基本となる考え方をご紹介します。
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プレゼン中に言葉がすらすら出てくるようになる方法
プレゼンを行うとき、言葉がスラスラ出てくるようになるためには、
人前で話すときに使える「話し方のパターン」を作ることがおすすめです。
私は、もともと話すことが本当に苦手で、うまく喋ることができない問題を長年抱えていました。
この問題を解決するために、話すためのトレーニングを始めたのですが、
最初に行ったのは、独自の「話し方のパターン」を作る、ということでした。
先ほど、レキシコンというキーワードをご紹介しました。
この話し方のパターンを作る、というプロセスは、
脳内の語彙の集まり=レキシコンを呼び起こすために、とても大事です。
この「話し方のパターン」は、人前で話すための武器になるもので、
大量のパターンを持つことで、いつでもすらすら言葉が出てくるようになり、スピーチやプレゼンへの苦手意識を払拭しやすくなります。
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言語化プロセスのイメージ
スピーチやプレゼンにおいて、話し手は、自身の考えやメッセージをスムーズに言語化することが求められます。
この言語化の過程は、少し物騒ではありますが、銃を持つ人が
「銃に弾薬を込め、目標に狙いを定め、トリガーをひく」
一連の動作に喩えることができます。
この銃のイメージでお伝えしたいのは、
弾薬が込められなければ、銃を撃つことはできない
ということです。
裏返せば、弾薬があれば銃を撃つことができることになりますが、これを言語化のプロセスに当て嵌めてみると
弾薬に相当する、大量の「話し方のパターン」があれば、言葉が出てくるようになる=話しやすくなるといえます。
先ほど登場した、レキシコンというキーワードに即して表現すると、これは
レキシコン=脳内の大量の語彙の集まりのなかで、自分が使いやすい語彙の組み合わせ(話し方のパターン)を増やしましょう、
ということです。
レキシコンは、話すことに慣れていないと、プレゼンなどのシーンではうまく働かないことがよくあります。
※この点について、こちらの記事でご紹介しています。
人前で話すとき言葉が出てこない2つの理由とは?【レキシコン】
だからこそ、自分が使いやすいパターンを作ることで、レキシコンを呼び起こそう、ということです。
これによって、言葉がうまく出てこない問題を、解決しやすくなります。
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プレゼンで使うパターンの具体例
以下では、人前で話すときに使えるパターンの具体的な事例を紹介していきます。
※あなた独自の話し方のパターンの作り方を、勉強会の中で解説しています。
最新のスケジュールは、こちらを参照して下さい。
これらのパターンを参考にしながら、あなたのオリジナルのプレゼン用のセリフを作成してみて下さい。
※以下の事例は、基礎的な言葉やキーワードの説明をメインにしています。
経営者の場合
会社の経営者の立場でプレゼンを行う場合、こんなパターンが考えられるかもしれません。
■弊社は、過去5年間で年平均成長率20%を達成し、業界トップクラスの成長を遂げてきました。
■弊社の昨年度の売上高は、前年比15%増加し、〇〇億円に達しました。
■イノベーションは、企業の競争力を維持し、成長を続けるために不可欠です。
精神科医の場合
精神医療のテーマで話す場合、このようなテーマが考えられるかもしれません。
■厚生労働省の患者調査によると、2017年の精神疾患の患者数は419万人にものぼります。
■精神疾患の診断は、詳細な問診、身体検査、心理テスト、時には脳の画像検査を通じて行われます。
■現代の「発達障害」という概念には、ASD・ADHD、LDが含まれています。
語学の先生の場合
言語や語学についてプレゼンをするときには、次のようなパターンが考えられるかもしれません。
■世界では、5000以上の異なるローカルな言語が存在すると言われています。
■英語は言葉の位置によって格が決まるため語順が厳格に決められるのに対して、日本語には「て、に、を、は」などの格助詞によって格が分かるため、極めて自由な語順をとることができます。
■新しい言語を学ぶときは、漫然と様々な単語をインプットするのではなく、まずは具体的に「どんなテーマで話したり、どんな考えを伝えたいか」という目的を設定し、それを表現できる単語を学ぶのが大事です。
栄養士の場合
栄養学に関心がある場合、このようなパターンが作成できるかもしれません。
■バランスの取れた食事は、健康を維持し、病気を予防するために不可欠です。
■五大栄養素として、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルがあります。
■タンパク質は、さまざまな食品から摂取することができ、体の細胞や組織の構成要素として、筋肉、皮膚、髪の毛などの形成と修復に重要な役割を果たしています。
美容系のテーマの場合
美容系のテーマでプレゼンをする場合、こんなパターンが考えられるかもしれません。
■健康な肌は、約28日間ほどの周期でターンオーバーを起こします。
■髪の毛は、内側からメデュラ、コルテックス、キューティクルという3層の構造でできています。
■紫外線は、肌に大きなダメージを与えます。シミやシワ、さらには皮膚がんの原因となることもあります。波長によって「UV-A」「UV-B」「UV-C」の3種類に分かれます。
女性学的なテーマの事例
女性学(フェミニズム)的テーマの場合、こういう事例が考えられるかもしれません。
■フェミニズムは、女性の権利だけでなく、全ての人が平等に扱われる社会を目指す思想・運動です。
■女性が組織の上層部に昇進するのを阻む見えない障壁のことを、「ガラスの天井」と言います。
■男女格差の状況をまとめたジェンダーギャップ報告書のランキングによると、日本は世界146カ国中、2023年は125位、2024年は118位でした。
コーチング
コーチングについて話す場合、このようなパターンが考えられるかもしれません。
■目標を設定するときは、SMARTの法則に従って下さい。このルールでは、具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性のある(Relevant)、期限付き(Time-bound)という5つを使います。
■目的には2種類あります。一つは他人や社会から押し付けられる外的な目的で、もう一つは、私たちの一人一人の中に眠る内的な目的です。
■思考を変えるためには、過去に考えたことがないような全く新しい質問を自分に投げ掛けることが重要です。
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筆者が使用しているパターン
こちらは、筆者(馬渕)が実際に使用しているパターンの事例です。
■人間は生まれてから大人になるまでの過程で、様々な概念を獲得し、形成し、蓄積していきます。
■二重過程理論の考え方によると、人間の思考には、システム1とシステム2というの2種類のモードがあります。
■認知バイアスとは、問題解決や意思決定のシーンで、物事の判断が直感や経験則によって歪められ、合理的でなくなる認知の傾向のことを言います。
■本来は、薬としての効果を持たない物質によって症状改善の効果がみられる現象を、プラセボ効果といいます。プラセボは、信念が人間の生化学に影響を与えることが分かる顕著な事例です。
■心理学の標準的なテキストによると、人間の記憶は、記銘-保持-想起の3つの段階で進んでいきます。
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パターンの種類はいろいろある
いま幾つかの事例を紹介しましたが、このほかにも自己紹介、利き手への質問、コアストーリー(エピソード)を話す、結論・メッセージを伝えるパターンなどが考えられます。
◆自己紹介のパターン
◆聞き手に質問するパターン
◆過去のエピソードを話すパターン
→【5ステップ解説】プレゼンにおける過去のエピソードの話し方
◆結論・メッセージを伝えるパターン
こうしたパターンの種類が多いほど話し方の自由度が高まり、プレゼンで喋りやすくなります。
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オリジナルのパターンを作成してみよう
これらの事例を参考に、あなたのオリジナルのパターンを作成してみましょう。
ここでは練習として、特定のキーワード(概念)を聞き手に説明するためのパターンを考えていきます。
次のステップに沿って、ワークに取り組んでみて下さい。
ステップ1.キーワードの決定
あなたがプレゼンで使いたい言葉やキーワード(概念)を幾つかピックアップしてみて下さい。
キーワードの事例
より実用的なパターンが作るには、優先順位(プライオリティー)を考えて、使用頻度が高いものを選ぶのがお勧めです。
ステップ2.パターンの作成
そのキーワードを主語にして、説明する文章を作ってみて下さい。
※キーワードを後ろに置いてもOKです。
必要であれば、書籍や論文を参考にして下さい。
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もちろん、ネット記事やchatGPTを利用してもOKです。
※ただ、どのメディアを参考にする場合でも、文章が本当に正しいかどうかをチェックするようにして下さい。
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ステップ3.パターンを推敲する
パターンを作成できたら、文章を推敲してみましょう。
実際に声に出して読み上げて、「言いやすいかどうか?」などを確認し、表現を洗練させて下さい。
筆者の場合、発音するのが苦手な音を避けたり、自分の中で余裕をもって話せる文字数(約30~40字)に収めるようにしています。
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まとめ
「言葉がうまく出てこない」という悩みの背景には、科学的なメカニズムがあります。
特に言語化のメカニズムについて考えたとき、レキシコンというものが重要なキーワードになります。
プレゼンテーションでスムーズに話せるようになるためには、大量の「話し方のパターン」を持つのがおすすめです。
※この話し方のパターンを作ることは、あなたに合う語彙の組み合わせを増やすことに繋がり、徐々にレキシコンを呼び起こすことができます。
上記の具体的な事例を参考に、自分に合ったパターンを作成してみて下さい。
このようなパターンを持つことで、自信をもって人前で話せるようになり、プレゼンの質を向上させることができると思います。
少しでもご参考になれば嬉しいです。
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【お知らせ】
現在、話す力を高めるための勉強会を開催しています。
このイベントでは、言語化力を高めるための最も強力な方法論・アプローチについて、詳細にお話しします。
※この方法は、マルティプル・レイヤーと言います。
この方法は、認知科学や神経科学などの観点から、最も効果的と考えられるやり方で、
✓言葉がうまく出てこない
✓人前でスラスラ話すことができない
✓頭が真っ白になってしまう
✓言葉(セリフ)が飛んでしまう
✓自分の言葉で説明ができない・難しい
などのプレゼンの悩みの多くを根本的なレベルから解決するうえでとても役立ちます。
ただ、この方法論は、完全にオリジナルのものなので、私の勉強会や個別サポート以外では、学ぶことができません。
言語化力を高め、自分が伝えたいことを自由に話し、表現できるようになりたい方は、ぜひ勉強会やサービスにご参加下さい。
しっかりと適切なサポートをさせていただきます。
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