このページでは、スピーチやプレゼンなどの人前で話すシーンで、言葉がうまく出てこなくなったり、スムーズに話すことができなくなる原因をご紹介したいと思います。
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言葉が出てこなくなる4つの原因とは?
私たちが人前で話すシーンで、「言葉がうまく出てこない・すらすら話せない」原因は、大きく分けると4つあります。
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1.脳内のレキシコンが活性化されていない
2.言語化の自由度が低くなっている
3.発話・発声の回路の機能が働いていない
4.意識とレキシコンの接続が途切れている
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どれも言葉が出てこない問題を解決するうえで大事なポイントなので、当て嵌まりそうな項目がないか、ぜひ確認してみてください。
※少しだけ専門的な用語が登場しますが、ぜひこのキーワードも併せて覚えておいていただくと、話す力を高めるうえでお役に立つと思います。
ポイント①
一つ目のポイントは、
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1.脳内のレキシコンが活性化されていない
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というものです。
このレキシコンという概念は、プレゼンや日常会話など、私たちが言葉を使う活動をするときに働くメカニズムを理解するうえで、一番大事なキーワードのひとつです。
レキシコンとは、脳内にある語彙(ボキャブラリー)のリストやグループのことを意味します。
ここでは簡単に、頭の中にある単語帳のようなものをイメージしてもらえればOKです。
私たちは脳内の単語帳(レキシコン)にアクセスし、その時々で必要な言葉をピックアップしながら、「話す」というプロセスを進めていきます。
ところが、ここで問題が生じてしまうことがあります。
このレキシコン内の語彙(ボキャブラリー)はどれも、常に必ず完全な形で使うことができる訳ではなく、
それぞれ「思い出しやすさ」「思い浮かびやすさ」が異なっているのです。
これは「想起率」「浮上率」などと呼ぶことができます。
例えば、私たちは日常会話の中で、何かの名前を「ど忘れ」してしまうことがありますよね。
仲の良い友人・知人の名前がパッと出てこなかったり、前に行ったレストランの名前を思い出せず、言えなかったりすることがあります。
この現象には、まさに想起率(=記憶をすぐに思い出せる確率)が関わっています。
このように、脳内の語彙(ボキャブラリー)の中には、
いつでもすぐにパッと頭の中に思い浮かぶ語彙もあれば、なかなか思い出せない語彙もあります。
「言葉がうまく出てこない」「すらすら話すことができない」という悩みを抱えている方は、レキシコンの想起率が、全体的に低くなってしまっている可能性が高いです。
では、どうすれば色々な語彙をしっかりと自由に使いこなせるようになるのでしょうか。
最も大事なのは、脳内のレキシコン(語彙のグループ)を、しっかりと呼び起こすということです。
多くの語彙の想起率=思い出しやすさが低いということは、いわば語彙が眠ってしまっている状態で、うまく使うことができません。
そこで、できる限り多くの語彙を呼び起こす、ということが必要になります。
自分がもつ様々な語彙の想起率=思い出しやすさをしっかりと高める、ということですね。
これができると、どのようなシーンでも「言葉がうまく出てこない」という問題は解決することができます。
これが一つ目のポイントになります。
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ポイント②
二つ目のポイントは、
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2.言語化の自由度が低くなっている
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というものです。
少し抽象的な表現になってしまいましたが、これは「言葉の組み合わせ」の自由さのことだと思ってください。
私たちは、「話す・喋る」ということをするとき、言葉を単独で使う訳ではなく、様々な語彙を組み合わせて文章を作りますよね。
この「言葉の組み合わせ」のパターンが多ければ多いほど、スムーズに話せるのですが、
プレゼンはリアルタイムで進んでいくので、一瞬で適切な「言葉の組み合わせ」を作ることは、少し難しいことがあります。
だから、噛んだり、言い間違えたり、不自然な話し方になってしまうことがよくあります。
特に、人前で話すときは不安・緊張・焦りを感じ、リラックスしにくい状態で、ほかのことにも意識を向けないといけないので、難易度はさらに上がります。
これは、「すらすら話すことができない」大きな理由になっています。
例えば、文章を書くことが得意で、スムーズに執筆を進められる人でも、
発話・発声が絡むとうまくできない、ということが起こります。
これは、話すときに言葉の組み合わせのパターンがうまく作れない、という原因があります。
このような場合は、自分にとって使いやすい「言葉の組み合わせ量」が増えるように話す練習をすることで、プレゼンですらすら話せるようになります。
※「言葉の組み合わせ」のイメージですが、次のスライドの下の図をご覧ください。
この組み合わせ量が多いほど、話すのが楽になります。
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ポイント③
3つ目のポイントは、
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3.発話・発声の回路がうまく働いていない
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というものです。
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私たちは、プレゼンのような「発話・発声」をおこなうとき、最終的に
呼吸器系の筋肉、声帯付近の筋肉、構音・調音器官(唇や舌ベロなど)を動かします。
この動きには、大脳の運動野が関わっています。
運動野がトップダウン的に指令を下して、筋肉を動かしています。
そのため、プレゼンで滑らかに喋るためには、この発話・発声のための運動の回路を、しっかり鍛えておく必要があるのです。
特に、先ほどのレキシコンと結びつけることを意識しながら、発話・発声の神経回路をトレーニングすることが重要になってきます。
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ポイント④
最後のポイントは、
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4.意識とレキシコンの接続が途切れてしまう
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というものです。
難しい言い方になってしまいましたが、かなり頻繁に起こっている現象です。
レキシコンとは、脳内の語彙(ボキャブラリー)のグループのことでした。
このレキシコンに、意識がしっかりと接続していて、アクセスできている状態だと、
話すときにスムーズに言葉を紡いでいくことができます。
ところが、私たちの意識や注意を向けられるリソースの量は、限られているため、
プレゼンのようなシーンでは、意識を向けなければいけないことが多いです。
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・聞き手への対応
・プレゼンをどう進行するか
・不安、緊張、焦りへの対処
・姿勢、表情、ジェスチャー
・プレゼン資料
etc…
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小さなコップに大量の水を一気に注いだら、水が溢れてしまいますが、
同じように、目の前の情報量が多すぎると、意識のキャパシティーを超えてしまい、
軽い混乱状態になったり、レキシコンにアクセスできなくなってしまうことが起こります。
人前で話すとき、このパターンが起きて言葉が全く出てこなくなってしまうことがあります。
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4つのポイントを解消する方法
今回は、「言葉が出てこなくなる」「うまく話せない」原因を、4つのポイントに分けて確認をしていきました。
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1.脳内のレキシコンが活性化されていない
2.言語化の自由度が低くなっている
3.発話・発声の回路の機能が働いていない
4.意識とレキシコンの接続が途切れている
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できる限りスムーズに話せるようになるには、これらのポイントを解決していくことが大事です。
かなり難しいことをしているように感じますが、私たちは、
リラックスできている時は、これらの複雑な過程を無意識に自然と行っています。
では、どうすればより効率的にこれらのポイントを抑えられるでしょうか。
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上記の4つの問題点を解決するうえでとても効果的で、
「うまく話せない」「スムーズに言語化ができない」
このような悩み・課題をお持ちの方におすすめしたいのが、マルティプル・レイヤーという考え方です。
これは、短期間でできる限り効率的に、言語化力を極限まで高めるためのアプローチです。
特に発話・発声のハンデを持っている方には非常におすすめなので、
「うまく話すことができなくて苦しい…」と感じている方は、ぜひこの方法を取り入れてみていただきたいです。
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マルティプル・レイヤーとは?
マルティプル・レイヤーとは、一言でいうと
大量の語彙・表現を重ね合わせた文章のことで、多層的なテキストを意味します。
(ボキャブラリー・フレーズ・キーワード・センテンスetc…)
通常の文章に少し手を加えた特殊なテキストなのですが、これを使って練習をすると、
話すのが苦手な方でも、短期間で劇的に言語化力を高められ、スムーズに話しやすくなります。
この方法は、日常会話や語学の習得など、その他色々なテーマにも応用ができる考え方です。
もちろん、すべての方に効果的かどうかは分かりませんが、現状、巷にあるどんな方法よりも、合う人には最も強力なトレーニングになると思います。
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