講座や勉強会を開催するとき、私がいつも心掛けていることがあります。
それは、話を聞いてくれる参加者の方々に、必ず何らかの「質問」をする、ということです。
以前、勉強会を開催していた時に、何気なく受講者の方に質問をしたことによって、そのメリットの大きさに気づくことができました。
そのため、今回は質問をすることの重要性についてまとめてみたいと思います。
✓プレゼンの準備をしている方
✓情報発信、ビジネスでニーズを把握したい方
✓プレゼンのスキルを磨きたい方
✓ライフワークとして研究をしている方
などなど。
プレゼンの構造
聞き手に質問を投げかけるメリットをお話しする前に、少しプレゼンの基本構造について、振り返ってみたいと思います。
※既に把握している方は、読み飛ばして下さい。
私は、プレゼンの基本構造を「3フェーズ・3レーン」と呼んでいます。
分解すると、この2つです。
①フェーズの区分
まず、時間的な・順序的な区分として、プレゼン全体をフェーズⅠ~Ⅲに分けて考えます。
フェーズⅠ→開始・導入のフェーズ
フェーズⅡ→問題解決のフェーズ
フェーズⅢ→まとめ・終了のフェーズ(あるいはオファー)
この点については、こちらの記事でご紹介しているので読んでみてください。
![](https://speech-labo.com/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/332dfcb924ea92c566a922d425b25dad.jpg)
②カラム(レーン)の区分
この時間の推移を区分する3フェーズとは別に、
プレゼン中にどの人物・内容に焦点(スポット)をあてるか、という切り口で考えると、次の3つの分け方が考えられます。
①話し手…あなたの自己紹介/過去のエピソードなどを話す
②主要テーマ…プレゼンのメイン・テーマの内容を話す
③聞き手…プレゼンの参加者に質問をしたり、語り掛ける
この2つの分け方を組み合わせて、「3フェーズ3レーン」と呼んでいます。
こちらのスライドをご覧ください。
今回の「聞き手に質問を投げ掛ける」というのは、このプレゼンの構成上かなり重要なポイントの一つと考えることができますね。
聞き手に質問を投げ掛けるメリットとは?
聞き手に質問を投げ掛けると、非常に様々なメリットが得られます。
1.データが取れる
まず最初のメリットは、生のデータが取れる、ということです。
聞き手(参加者)の方々は、
・普段どんな考えを持っているのか?
・どんなことを感じながら生活しているのか?
・どんな悩みや課題を持っているのか?
・どんなふうになりたいのか?
・いま最も知りたいと思っていることは何か?
などなど。
こういう普段はあまり聞く機会が得られない情報を集めることができます。
つまり、直接アンケートができる、ということですね。
実際にプレゼンの時に色々と質問をしてみると、自分の想定外の反応や考えを知ることができ、新しい気付き・発見があり勉強になります。
そのため、「意識的にデータを取る」ということを大事にしたいと思っています。
2.別のプレゼンで使うことができる
このような生の体験・データを集めておくと、
別のプレゼンの機会に話すときにその時の答えを紹介したり、ケーススタディー的に共有することができ、何かと役に立ちます。
例えば、プレゼンの冒頭で悩んだとき
…以前、私の講座で参加者がこんなエピソードを教えてくれました…
こんな風に話し始めることができます。
これは、何度か連続してプレゼンをしたときに気付くことができました。
プレゼン中に質問すればするほど、次のプレゼンで使える材料が増えるので、とてもおすすめです。
3.悩みやニーズを把握することができる
アンケートを取ることには、ビジネス上のメリットも非常に大きいと言えます。
というのも、ビジネスシーンであれば、自分が未だ把握できていない悩みや問題があることに気づいたり、新しい市場のニーズを発見できるかもしれないからです。
また、質問を繰り返すことによって、話し手側が発信する内容と、聞き手側が知りたいと思う内容のズレをなくすことができます。
4.場の雰囲気、集中力、緊張感などを維持できる
幾つか質問をもっておくことで、プレゼンへの積極的な参加を聞き手に促すことができます。
例えば、私の場合だと、勉強会の中で紙に書きだすタイプのワークに取り組んでもらうことが多いのですが、
その後に必ず、「どんな内容を思いつきましたか?」と質問をするので、参加してくれた方が集中して取り組んでくれます。
選択肢の一つとして聞き手への質問を持っておくことで、上手にその場を制御することができて、プレゼンの進行をスムーズに進めやすくなります。
5.プレゼンのバックアップができる
これはとても大事な方法なのですが、どういう意味かお気づきになるでしょうか?
質問を投げ掛けことによって、プレゼンの参加者が「しっかり答えを考える」という状態を作ることができます。
そして、こちら(話し手)からの質問に対して、考えたことを話す準備をしてくれます。
これによって、スピーチ/プレゼンの絶対条件である
あなた(話し手)が話す、という状態から ➡ 相手(聞き手)が話す
という状況に一時的にシフトします。
プレゼンの途中で、かりに話の展開が分からなくなってしまったとしても、聞き手に質問をすることで時間のゆとりを確保して、次の展開を考えることもできます。
つまり、質問を用意しておくことで、いつでもプレゼンの失敗をリカバリーすることができる、ということですね。
私の場合
続いて、参考になるかわかりませんが、私のケースをいくつかお話ししますね。
研究のために質問をするケース
普段、私は様々なテーマの研究をしています。
例えば、西洋哲学/うつ病/神経科学/人間の思考のメカニズムなどなどです。
分かりやすいものでいえば、
ライプニッツの哲学を学ぶことがあったり、
認知バイアス、プラシセボ効果、うつ病における認知などのような、
人間の持つ「思い込み」についてもよく調べたりします。
この思考、哲学、思い込みなどの研究は、ライフワークとして死ぬまで続けようと思っているんですが、この研究にプレゼン中の「質問」がとても役立ちます。
そのため、まず基本方針として、
長期的なスパンで考えて、自分の研究の役に立つような質問を意識的にして、データを蓄積していこう、
ということを決めています。
例えば、哲学系の講座を開催するときは、
皆さんは、哲学書を読んだことってありますか?
哲学という分野に、どんな印象を持っていますか?
哲学の概念(考え方)で関心があるもの、学んだけど難しいと感じたものはありますか?
難解な文章を読んだとき、どんなことを感じますか?
こういう簡単な質問をすることがあったり、
私のブログでご紹介しているような難しめの概念の考え方をご紹介したときに、
…この考え方について、何かご質問&ご感想などあれば、ぜひ教えてください
こんな風に、質問を募ることもあります。
それによって、どんな点に注目するのか、どんなポイントが理解し難いのか、など本当にいろいろなことを教えてもらうことができます。
また、自己啓発系の講座の時は、例えば、こんな風に質問をします。
「皆さんは、認知(物事のとらえ方)を変えるためのワークに取り組んだことはありますか?」
「自分の中に、強い思い込みを見つけられた経験はありませんか?」
うつ病など精神医学系の講座を開催するときは、
薬物療法って受けたことがありますか?
どんな種類の薬を飲んでいますか?うつ(病)を経験する前後で、大きな生活環境・ライフスタイルの変化はありましたか?
などなど。
こういう風に、ケースバイケースですが聞いておきたいことをどんどん質問していきます。
ニーズを把握するための質問をするケース
情報発信のためのニーズ把握を目的として質問をすることもあります。
以前、紙に書きだすタイプのワーク系の勉強会を開催したとき、こんな感想を頂いたことがあります。
ワークは大事だと感じているんですが、一人だと、なかなか続けることができないです…
この言葉を聞いて、なるほど、直接参加してワークに取り組むイベントには、こういうニーズもあるのだな、とわかりました。
こういう生の声は、自分一人では気づくことができないことも多いです。
こんな風に、質問を投げ掛けてアンケートを取ることで、情報発信やビジネスにおいて重要なニーズの把握をすることもできるのですね。
聞き手への質問を考えておく
自分主体で話をするだけでなく、聞き手との対話や質疑応答をリアルタイムでできることは、スピーチやプレゼンの面白いところの一つかもしれません。
自分から「…何か質問はありますか?」と聞いておいて、
もしかすると、上手に答えられないかもしれない、というスリルもあります笑
※因みに、質問を頂いたとき、
わかる範囲でできる限り答えようとするのも大事なのですが、
堂々と「わかりません!」ということも大事だったりします。
ぜひプレゼン前には質問を幾つか考え、リストアップしてみて下さい。
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