【5ステップ解説】プレゼンにおけるエピソードの話し方

話し方の型

 

今日は、プレゼン中に「過去のエピソード」を話すときに使えるストーリーの型(パターン)をご紹介したいと思います。

 

特に「自分のコアストーリー」(過去のエピソード)を話せるようになることは、プレゼンを上達するうえで必須です。

 

過去のエピソードを話すことで、聞き手から信頼を得たり、話し手(自分)側が伝えたいメッセージの説得性を高めることもできます。

 

今回ご紹介するストーリー(エピソード)の型は汎用性が高く、どんなエピソードの場合でも使用することができます。

 

記事の後半では、あなたのオリジナルのエピソードを作成するために役立つガイドを掲載しておくため、参考にしてみて下さい。

 

 

プレゼン研究所
プレゼン研究所

今日は、あなたの過去のエピソードを伝えるための話し方の型(パターン)をご紹介します!

 

 

この記事は、こんな方におすすめです。

 

自己紹介の仕方がわからない

エピソード・トークを上達したい

聞き手と信頼関係を築きたい

人前で自信をもって話せるようになりたい

プレゼンの上達のためエピソードの型を学びたい

 

 

過去のエピソードを伝える5つの要素&全体像

 

過去のエピソードを効果的に伝えるためには、次の5つの要素(ステップ)を使って話を構成するのがおすすめです。

 

汎用性を高めるためかなり抽象的な表現を使用しているので、後ほど具体的に解説していきます。

 

①導入(Ⅰ)

②詳細(D)

③問題解決(PS)

④変化または認識(C)or(R)
⑤メッセージ(M)

 

このご5要素を含めエピソードを構成することで、聞き手にとってわかりやすく、共感を得やすいプレゼンテーションを行うことができます。

 

因みに、この5つの要素は順番を入れ替えて話せるように設計しているので、かなり自由度の高い使い方ができます。

 

5つの要素を話す順番
このストーリーの型の順番は入れ替え可能(可変的)です。必ずこの流れでなければいけない訳ではなく、どの要素から話すこともできます。

 

 

 

 

過去のエピソードを伝えるステップ①~⑤

 

では、プレゼンにおけるエピソードを構成する5つの要素を一つずつ見ていきましょう。

 

①導入(Ⅰ)

エピソード・トークの最初の要素(ステップ)は、導入(Introduce)です。

 

ここでは、エピソードの主体となる人物、対象、時間&場所などの情報を提示します。

 

・人物…誰が?

・対象…何が?

・時間…いつ?

・場所…どこで?

など

 

この情報を出さなければ話が進められない、というものを最初に伝えます。

 

◆エピソードの導入部分
主体:誰の話か?
対象:何が?
時間
:いつ頃のことか?

場所:どの場所で起きたのか?
など

 

これらを踏まえると、例えば、このような導入が考えられます。

 

導入(I):「今から13年ほど前のことですが、上京して間もない頃、私は重度のうつ病を経験したことがあります」

 

この例では、

 

——————————-

主体:私(話し手自身)

対象:うつ病

時間:約13年前(2011年)

場所:東京

——————————-

 

こうした要素が明確になっています。

 

これらの要素を起点として、さらに次のステップに進みます。

 

②詳細(D)

第二のステップは、詳細(Detail)です。

 

ここでは、主に話し手やエピソードに登場する人物がどのような状態であったか、またどのような状況や環境に置かれていたのかなどを、もう少し詳しく説明します。

 

またエピソードをより具体的にイメージしやすくなるような情報を捕捉することもあります。

 

例えば、このような流れが考えられます。

 

◆事例①

導入(I):「3年前、私は長年の夢であった自分のカフェの店舗をオープンしました」
↓↓

詳細(D):「このカフェは、地元の食材を使った手作りのメニューとお洒落な内装や雰囲気がウリのお店でした」

 

◆事例②

導入(I):「高校3年生の時、私は初めて弓道の全国大会に出場することになりました」
↓↓

詳細(D):「この大会は、私の部活動での3年間の努力と成果を試す絶好の機会でした」

 

◆事例③

導入(I):「昨年の夏、私は被災地でのボランティア活動に参加しました。」

↓↓

詳細(D):「活動内容は、現地の復興支援や被災者のサポートを行うものでした。」

 

 

このように①導入(Ⅰ)で提示した内容に、少し補足情報を加えます。

 

・・・

 

③問題解決(PS)

エピソードの第三の要素は、問題解決(Problem Solving)です。

 

このステップでは、主に話し手(あなた)やエピソードの主体が、過去にどのような悩みや課題に直面し、それをどう乗り越えたかを話します。

 

いったいどのような問題が生じたか?

それをどのように解決したのか?

 

こうした過去のエピソードの中で生じた問題と、その解決のプロセスを説明します。

 

◆話すときのポイント
1.問題はネガティヴ(⊖)なイメージ、解決はポジティヴ(⊕)なイメージで捉えて下さい。2.「問題(⊖)が生じる→解決(⊕)する」という図式(流れ)があることを意識してみて下さい。

 

過去のエピソードを話すときは、このように人生のどこかで

 

こういう問題(⊖)が生じた➡それをこのように解決(⊕)した

 

という伝え方をします。

 

 

■事例①

導入(I)
「去年の夏、私は友人と一緒にアメリカのマウント・レーニアの登頂に挑戦しました。」

↓↓

詳細(D)
「過去に何年もの登山経験はありましたが、マウント・レーニアはこれまでに挑戦した山の中で最も高く険しい山でした。」
↓↓
問題解決(PS)

「途中で悪天候に見舞われ、一時はルートを見失いあわや遭難しかけましたが(問題⊖、GPSと地図を頼りに慎重に進み、無事に安全なルートに戻ることができました(解決⊕)

 

■事例②

導入(I)
「4年前、私はWebデザインのスキルを活かして、自分のデザイン会社を立ち上げました。」

↓↓

詳細(D)

「この会社の主なサービスは、小規模ビジネス向けにカスタムWebサイトを提供することでした。」
↓↓

問題解決(PS)

「最初はクライアント獲得に非常に苦労しました。(問題⊖しかし、継続的なSNS発信や自社イベントなどを活用して顧客を増やし、徐々にビジネスを拡大することができました(解決⊕)

 

 

④変化 or 認識(R)

第四の要素は、変化(Change)または認識(Recognition)です。

 

ここでは前ステップ(③問題解決)で話した、悩みや課題を乗り越える過程で、どのような変化が自分や人生に生じたかを伝えます。

 

また同時に、問題解決の過程で得られた、新しい認識(気づき/学び/発見/洞察)などを話します。

 

導入(I)
「私は幼い頃から、人間関係やコミュニケーションに関する大きな障害を抱えており、人と話すことが非常に苦手でした。」
↓↓

詳細(D)
「背景には、ASD(自閉スペクトラム症)という発達障害の傾向が隠れていました。」
↓↓

問題解決(PS)
「私にとって、他人の感情や空気を読むことは本当に難しく、ほかの人と長く人付き合いをすることができませんでした。(問題⊖
ところが、コミュニケーションについて指導をしている先生に指導してもらったり、多くの人々と出会い、日々の生活で練習を重ねることで、障害を克服することができました(解決⊕)
↓↓

変化/認識(C/R)
「私は多くの人々と関わる中で、誰かとコミュニケーションをとるとき、他者(相手)についての思い込みを持たず、まずフラットに向き合うことが大事だということを学びました。(認識⊕)相手はどのような価値観を大事にしているのか、対話の相手に何を求め、どのようなニーズを持っているかなどを考えながら接するようになりました。そうすることで、相手といい関係が築けるようになりました。(変化⊕)

 

 

⑤メッセージ(M)

最後の要素は、帰結としてのメッセージ(message)です。

 

このステップでは、過去のエピソードを通じて、話し手(あなた)が聞き手に伝えたいことを提示します。

 

◆エピソード型の論理的な構造
この5要素を用いたエピソードの型には、論理的な構成があります。

「①導入~④変化または認識」までの流れは、すべて合わせて「⑤メッセージ(帰結)」を伝えるための理由になっています。

 

つまり、論理的には、

理由(①+②+③+④)➡メッセージ・帰結(⑤)

という構造になっています。

 

◆事例

導入(I)

「私は数年前、人前で話す力を高めるため、プレゼンテーションの研究を始めました。」
↓ ↓

詳細(D)

「きっかけは、発話や発声、コミュニケーションに関する大きな障害を抱えていたことでした。」
↓ ↓

問題解決(PS)

「私はプレゼンを行うとき、息が苦しくなったり、適切な言葉が思い浮かばず頭が真っ白になるなどの悩みを抱えていました。(問題⊖

そこで、海外のプロの講演家のプレゼンを200事例以上分析し、詳細な分析を行い、自分なりに再現する方法を考えたり、話し方のパターンを抽出することを行いました。そしてインプットとアウトプットの練習を重ねました。(解決⊕)
↓ ↓

変化/認識(C/R)

「プレゼンの研究を進める中で、プレゼンとは、他人や社会の問題を解決する活動だということに気付きました。そして、この気付きをもとに練習を繰り返す中で、以前よりもずっと自信をもって話すことができるようになりました。」
↓ ↓

メッセージ(M):「私はプレゼンテーションの練習を行うことは、自分に自信を持つための最適な方法だということを学びました。だからこそ、皆さんにも、ぜひプレゼンの練習を始めていただきたいと思います」

 

 

 

エピソード構成の練習

 

ストーリーの基本構成をイメージできたら、今度はあなたの独自のエピソードを作成していきましょう。

 

※実際に紙に書きだしながら、ワークを行ってみて下さい。

 

 

以下の質問を参考に、5要素の文章を思い付くものから書き込んでみて下さい。ここでは、まず長い文章を作ろうとせず、シンプルに単文でエピソードを作成してください。

 

導入(Ⅰ):いつ、どこで、だれが?(何が?)

➡________________________________

 

詳細(D):どのような状態、どのような状況だったか?

➡________________________________

 

問題解決(PS):どのような問題が起こり、どう解決したか?

➡________________________________

 

変化/認識(C/R):どんな変化が生じ、どんな気付き・学びがあったか?

➡________________________________

 

メッセージ(M):聞き手に伝えたいことは何か?
➡________________________________

 

 

 

各要素を一文(短文)で作成してほしいのは、「話し方の型」を習得するためです。

 

プレゼンを上達するためには、話し方の型(パターン)を習得するのが最も重要です。

 

今回のエピソードの型は、

 

①導入

→②詳細

→③問題解決

→④変化&認識

→⑤メッセージ

 

このように連続して話す練習をすることで、プレゼンが上達しやすくなるように作ってあります。

 

ところが、最初から長文で話す練習をすると、肝心のこの「話し方の型のリズム」が掴めません。

 

この話し方の型(パターン)のリズムを体感で掴めたら、各要素の内容をもう少し膨らませても、スムーズに話せるようになります。

 

◆エピソードの構成&話し方のポイント
まず各要素(①~⑤)を一文ずつで構成し、次に①導入→②詳細→③問題解決→④変化&認識→⑤メッセージ
この流れに沿って話す練習をすることで、このエピソードの型を使うときの
リズムを掴むことを意識してみて下さい。

 

 

エピソード:事例①~③

 

以下に、これまで紹介してきた5要素(ステップ)を用いたエピソードの事例を3つ挙げます。

 

今度は各要素を一文ではなく少し長めに構成していますが、文章量はもっと減らしても構いません。

 

これらの事例は、先ほどの①~⑤までのシンプルな構成に、少し肉付けして内容を膨らませたものとイメージして下さい。

 

■事例①

①導入(I)
「今から5年ほど前、私は東京のとあるベンチャー企業で営業担当として働いていました」

 

②詳細(D)
「私たちの会社はまだ創業して間もなく、オフィスは未だ小さなものでした。社員はみな、新しいクライアントを獲得するために忙しくしていて、チーム全員が一丸となって働いていました。我々が参加していた市場は競争は激しく、新規クライアントの獲得ができなければ、会社の存続が危ぶまれる状況でした。」

 

③問題/解決(P/S)
「ある日、大手企業との重要な商談がありました。ところが、先方は我々の提案に対して懐疑的で、交渉は難航しました。(問題⊖

しかし、私は必死に我々のビジョンと価値を伝え、具体的なデータと成功事例を用いて説得を試みました。そして最後には、チームの協力を得たことで何とか契約を締結することができました(解決⊕)

 

④変化/認識(C/R):「この経験を通じて、私は困難な状況でも諦めずに挑戦し続け、チームの力を信じ、協力することで大きな成果を上げることができるという実感を得ました。(認識R)この成功は私にとって大きな自信となり、その後のキャリアにおいても大きな影響を与えました(変化C)

 

⑤メッセージ(M):「このエピソードから私が皆さんに伝えたいのは、どんなに困難な状況でも諦めずに前進することの重要性です。挑戦を恐れず、チームの力を信じて行動することで、どんな目標でも達成できるということを覚えておいてください。」

 

■事例②

①導入(I)「今から13年ほど前のことですが…、私は重度の抑うつ状態を経験したことがあります。上京し大学に通い始めて間もない頃だったので、大きな環境の変化がストレスになっていたのだと思います。また恐らく、幼少期から悩まされていた強い感覚過敏も影響していたかもしれません」

 

②詳細(D)「ある時から、うつ病の症状が酷くなり、身体が鉛のように重くなり外出もできなくなってしまいました。夜もよく眠ることができず、深刻な精神状態に陥ってしまい、暗闇の中に閉じ込められたような感覚でした」

 

③問題/解決(P/S):

「一番大変だったのは、希死念慮の波に襲われたことです。私は毎日のように「死ぬこと」を強く意識するようになりました。そして、自分は何者なのか、これから何のために生きればよいのかが、全くわからなくなってしまいました。(問題⊖)

ところが、この苦しみの中で、私は自分は何のために生き、どんな人生を送りたいだろうかと、本気で問いかけるようになりました。私が一番答えを知りたかったのは、自分の「人生の目的(ミッション)」は何か、ということでした。それから何年もの間、毎日のように自分の内面と深く向き合いました。そして、ある時ようやくハッキリと『人生の目的』を見つけることができました(解決⊕)

 

④変化/認識(C/R):
「人生の目的が明確になったことで、私の人生にはとても大きな変化が起こりました。他の人々の目を気にすることなく、真に自分らしい生き方を選び、以前からずっとやりたいと考えていた哲学の講師としての活動を始めることができたのです(変化C)

非常に苦しい経験でしたが、うつ病は自分の人生に本気で向き合うきっかけになり、今では幸運だったと思っています。大きな試練を経験することで、成長することができたのだと思います(認識R)

 

⑤メッセージ(M)
「このエピソードから私が皆さんに伝えたいのは、人生の目的を見つけることの重要性です。「何のために生きるのか?」という答えを見つけることができると真に自分らしい人生をスタートすることができます。そのため、ぜひ皆さんも、本気で自分と向き合い、人生の目的について考えていただきたいと思います」

 

■事例③

①導入(I)
「私は、日本のとある有名な教団の2世として生まれました。両親は非常に熱心な信者だったので、私は幼少期からそのコミュニティに所属し、教義と信仰に深く浸っていました。毎週の集会や特別な儀式は、私の日常の一部でした」

 

②詳細(D)
「教団の教えは非常に厳格で、外部の世界との接触を制限するものが多くありました。学校でも、友達と自由に話すことができず、家庭でも教義に反する考えを口にすることは禁じられていました。常に、教団の目を気にしながら生活していたのです」

 

③問題/解決(P/S)
「ところが、成長し大人になるにつれ、私は教団の教えに対して次第に違和感を覚えるようになりました。しかし、その疑問を口にすることはできませんでした。両親や周囲の信者たちの信仰に反することを言ったら、生きていくことができなくなってしまうからです。もちろん、誰も相談できる人などいませんでした。毎日、一人で孤独と闘いながら生きていました。(問題⊖)

ところが、大学に入学したことがきっかけとなり、私の人間関係は少しずつ変化していきました。多くの人と出会い、彼らとの対話を通じて、自分の考えをだんだんと表現することができるようになっていったのです。ほんのわずかですが、友人も作ることができました。そして最終的に、彼らの支えもあり、私は教団を脱退する決断ができました(解決⊕)

 

④変化/認識(C/R)
「教団を脱退した後、私は初めて自分の意志で物事を考え、行動する自由を手に入れました。最初は失敗ばかりでしたが、次第に自分自身の新しい価値観を見つける喜びを感じるようになりました。そして、周囲の人々が従っている慣習や教えを疑い、批判的に考えることの重要性を学びました。」

 

⑤メッセージ(M)
「このエピソードから私が皆さんに伝えたいのは、どんな人でも、自分自身を大切にし、自由な思考を持つことで、真に自分らしい人生を歩き始めることができるということです。
時には、思い込みを疑い、身近な人々の教え、伝統や慣習に疑問を持つことで、自分にとって大事な生き方を見つけることができるのだと思います」

 

 

最後に

 

今回ご紹介したエピソードの型を使用してもらうと、あなたが過去に体験した様々なことをプレゼン中に話すことができると思います。

 

ボリュームがあるので、何度か読み返していただくか、このページごと印刷して話す練習をしていただければと思います。

 

少しでもご参考になれば嬉しいです。

 

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