今回は、プレゼン中にフィラーを解消するために効果的な発声練習の方法をご紹介します。
フィラーは、あまりに多く生じてしまう場合、話し手と聞き手の双方に影響を及ぼします。
まず我々話し手(プレゼンター)からすると、プレゼン中に
「フィラーが多過ぎるのではないか?」
と自分で感じてしまうと、その瞬間から意識がとられて話すことに集中できなくなることがあります。
また聞き手からしても、プレゼンの内容が少し聞き取りづらくなるかもしれません。
フィラーは、たまに出てしまう場合にはあまり気にしなくても大丈夫なのですが、どうしても上手く話せず困っている、という方は減らすための練習をしていくのがおすすめです。
今回は、「発声の方法」の観点から、フィラーを減らす方法をお伝えしていきます。
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今回は、フィラー解消のために効果的な発声練習の方法をご紹介します!
この記事は、このような方におすすめです。
✓フィラーを減らしたい方
✓話し方の癖を改善したい方
✓プレゼンの質(クオリティ)を高めたい方
✓自信をもって人前で話せるようになりたい方
✓フィラーが原因でプレゼンの内容が伝わりにくいと感じている方
✓言葉を思い出すのに時間がかかり、フィラーが生じてしまう方
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フィラーの原因
フィラーの原因は、大きく分けると次の3種類が考えられます。
①発話レベルの問題…話し方の癖
②心理レベルの問題…緊張や焦り、自信のなさなど
③記憶レベルの問題…言語化ラグ
今回ご紹介するのは、①話し方の癖に対するアプローチです。
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フィラー解消のための練習方法
フィラーを解消するうえで効果的なのは、
文章を構成する各言葉の「語頭の音」を強調して読むように発声する練習方法です。
例えば、次のような原稿があったします。
◆原稿の例
「こんにちは、〇〇です。今回は、人間の思考の仕組みについてお話します。
人間の思考は、システム1とシステム2に分類することができ、…」
この練習方法では、テキスト中のすべての言葉を平坦に読むのではなく
「こんにちは、〇〇です。今回は、人間の思考の仕組みについてお話します。
人間の思考は、システム1とシステム2に分類することができ、…」
このように語頭(イニシャル)の音だけを強調して発声するようにします。
また同時に、いつもより少し速いリズム(テンポ)で読むのがポイントです。
このように各単語の頭を強調して話す習慣を身に着けることで、フィラーを解消しやすくなります。
書籍やプレゼン原稿など、音読ができるテキストを用意して、練習をしていただけたらと思います。
1.各言葉の語頭の音を強調して発声する
2.いつもより少し速いテンポで話す
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なぜ、語頭の音を強調するのか
このトレーニングで「語頭の音」を強調する理由は、フィラーの位置にあります。
フィラーは、プレゼンターが喋ろうとする文章の前、または文章同士の中間に生じますよね。
フィラーは、位置的に「前」「中間」に生じるからこそ、その次の言葉の最初の音に意識を向けることが重要です。
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フィラー解消のために意識してほしいこと
もうひとつ、フィラーを解消するための大事なポイントをご紹介します。
それは、フィラーに対する意識を切り替えることです。
プレゼンの練習をしているとき、フィラーが大量に出てきてしまうと、私たちはこんな風に考えてしまいます。
意識A:フィラーを出さないように話さないと……
実は、この「フィラーをなくそう」という意識は、フィラーを減らすうえで、逆効果になることがあるんです。
なぜかというと、フィラーは意図的に生じるものではなく、無意識に出てしまうものだからです。
フィラーには、ある意味で逆説的な性質があり、
「フィラー=無意識に出てしまうもの」だからこそ、
「フィラーをなくそう」と意識してしまうと、逆に生じやすくなってしまうのです。
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そのため、フィラーを減らすためには、
「フィラーを出さないように話さないと……」という考え方(意識A)ではなく、
意識B:自分が話したい表現&内容(文章)を、もっとハッキリ伝えられるように意識しよう
という意識に切り替えることが重要です。
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フィラーの原因とは?
フィラーが生じてしまう背景には、大きく分けて次の3つの原因が考えられます。
①話し方の癖
これは私たち話し手(プレゼンター)が一人ひとり持っている、話し方の特徴です。
これは「発話レベルの問題」であるため、発声練習を繰り返すことによって、改善することができます。
②緊張や焦り、自信のなさなど
プレゼンでは多くの人前で話すため、話し手(プレゼンター)はいつもと少し異なる心理状態になることが多いです。
これは主に「心理レベルの問題」であるため、人前で話すことへの考え方・とらえ方などの「認知」を変えることで、改善することができます。
③言語化ラグ
プレゼンでは、話し手は常に自分の考えや感覚を「言語化」しなければなりません。
この言語化のプロセスは、語彙の記憶(言葉を覚えること)と深く関係していて、
しばしば、言葉を思い出すのに時間が掛かる(言語化ラグ)ことが起こります。
そして、プレゼン中にフィラーが生じる原因の一つは、この「言語化ラグ」にあります。
言語化ラグがある=言葉を思い出すまでの時間が掛かってしまう(スピードが遅い)からこそ、フィラーが生じるのですね。
これは「語彙の想起という記憶レベルの問題」であるため、言語化スキルを高めることによって、改善することができます。
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この3種類の原因は、それぞれ捉え方の水準(レベル)が異なるため、それぞれ異なるアプローチが必要です。
今回ご紹介した練習方法は、フィラーを解消するうえでとても効果的なものなのですが、
この3種類のなかで、①話し方の癖に焦点を当てたアプローチだと捉えていただけたらと思います。
フィラーを気にしない状態
ここまでフィラーを解消する方法をお伝えしましたが、
個人的には、フィラーに関しては最終的には「殆ど気にならない状態」になるのがベストだと考えています。
というのは、フィラーは飽くまで量的な程度の問題だからです。
フィラーを完全になくす(ゼロにする)のは難しいですし、
それを目標にしてしまうと、むしろ上手く話せないことを自分で責めてしまい、プレゼンが嫌いになってしまうかもしれません。
そのため、あまりに多くフィラーが出る場合は、今回の原因別の対処方法を試していただいて、
ふだんは言語化スキルを高めようとすることで、自然と気にならなくなると思います。
最後に
最後までお読み頂きありがとうございます。
少しでもご参考になれば嬉しいです。
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