プレゼンで論理的に話す方法【応用編】

プレゼンの考え方

 

プレゼンで論理的に話すための、シンプルかつ強力な方法をご紹介します。

 

この方法では、論理というものを、折り紙のイメージによって捉えます。

 

以下では、論理的な話し方をするための哲学的な方法を、具体例を交え解説していきます。

 

少し抽象的な話が続きますが、このイメージを掴むことができれば、論理的に話すことが非常に簡単にできるので、少しお付き合いください。

 

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心理学のテストで用いられる、ロールシャッハの絵をご覧になったことがあるかもしれません。

 

※ロールシャッハの絵

◆ロールシャッハ・テスト
…投影法に分類される性格検査の代表的な方法のひとつである。被験者にインクのしみを見せて何を想像するかを述べてもらい、その言語表現を分析することによって被験者の思考過程やその障害を推定するもの―――引用:wikipedia

 

この絵は、左右対称になっていて、水平に見比べる限りズレが全くないですよね。

 

こうした対称性は、論理的な考え方をするうえでとても重要です。

 

ここで少し、考えて頂きたいことがあります。

 

Q.このように対称的な絵を、一瞬にして描くにはどうすればいいか?

 

もしこのような問題が与えられたら、どのような方法が考えられるでしょうか。

 

仮に、手書きで完全にシンメトリーな絵を描かなければならないとなると、かなり難しいでしょう。

 

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では、正解です。

 

A.インクを紙の上に落とし、二つ折りにしてから、紙を開くこと

 

※中央の線で折り返している

 

これは学校の授業で扱うことがあるようなので、ご存じの方も多いかもしれません。

 

ここで注目してほしいのは、

 

論理性の一種と考えられる対称性をつくりだすために、紙を折り畳むプロセスが含まれている

 

ということです。

 

ここでは対称性(シンメトリー)を例に出しましたが、紙を折り畳む操作によってできるのは対称性だけではありません。

 

逆、裏、対偶、同値、矛盾、反証、仮定、推論(演繹、帰納)etc…

 

こうした様々な論理的な考え方を、「折り畳む/開く」という方法によって再現可能です。

 

論理展開は、哲学的には折り紙のモデルによって理解することができます。

 

これが、折り紙のイメージを持っていただきたい理由です。

 

この考え方を応用すると、プレゼンテーションで論理的に話しやすくなるのです。

 

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では、このことを実例で確認していきましょう。

 

例えば、次のような文章があったとします。

 

…うつ病を克服するために、ストレスの仕組みについて学ぶことは重要です。

 

ストレスの仕組みを学ぶことで、症状に対処する方法を見つけやすくなるからです。

 

人間の体には、ストレスに対処するための様々なシステムが備わっています…。

 

これはごく普通のプレゼン原稿(テキスト)の一部ですよね。

 

もちろん、このままでも話を進めることは可能なのですが、論理的に話すために、さらに工夫をすることができます。

 

先ほどの折り紙のモデルを適応すると、例えば、こんなテキストを考えることができます。

 

うつ病を克服するために、ストレスの仕組みについて学ぶことは重要です。

 

なぜなら、ストレスの仕組みを学ぶことで、症状に対処するための方法を見つけやすくなり、回復を早めることができるからです。⊕

 

————-【折り返し線】————-

 

もしストレスの仕組みを知らないままだと、何年ものあいだ、うつ病の症状の波に翻弄されてしまうかもしれません。⊕

 

このテキストをよく観察すると、赤いテキストと青いテキストの間に、対称性があります。

 

先ほど触れたとおり、対称性は論理的な話の展開の一種にすぎませんが、対称性だけでも、例えばこのような話の展開パターンが考えられます。

 

◆対称性のある話し方の例
➡あるテーマについて表の視点を伝えた後、裏返しにして話す
肯定形否定形肯定文で話した後、否定文で言い換える
プラス面マイナス面プラス面を挙げたあと、マイナス面を話す
メリットデメリット➡物事のメリットを伝えた後、デメリットを話す

 

プレゼンでは、このように常に文章(テキスト)を折り畳みながら話を展開していきます。

 

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もう一つ、論理的な話し方をするうえで役立つ概念を参照してみましょう。

 

論理学の教科書では、よく対偶という考え方が登場します。

 

対偶とは、「ある文章(命題)が真である場合、その文章の逆と裏をとった文章もまた真である」という考え方ですね。

 

例えば、次の文章は対偶になっています。

彼女がアリスならば、ウサギの穴に落ちる(元の命題)

ウサギの穴に落ちないならば、彼女はアリスではない(対偶)

――参照:不思議の国のアリス

 

対偶を用いて考える限り、推論で間違えることはありません。

※これは人前で話すときも同様です。

 

こちらの図をご覧下さい。

 

 

これを見ると、対偶は、元の命題から対称的な位置にありますよね。

 

図に書き込まれた幾本かの線を眺めながら、先ほどの「折り紙のモデル」の話を思い出すと、

 

テキスト(文章)を折り畳むことによって、様々な論理的な推論(考え方)が可能になる

 

ということがわかるのです。

 

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ここまででお話しした対称を含め、論理的な話し方をするために効果的な方法を幾つか挙げてみました。

 

①反復…同じ主張や結論を繰り返す
②対称…対偶のように論理的に対称な話し方をする
③演繹…前提から帰結へ、理由を伝えながら話を展開する
④多角化…物事を多角的な視点から捉えて離す
など

 

こうしたすべての論理的なパターンを、「折り畳む/開く」という折り紙のイメージで把握してみて下さい。

 

ここでは、簡単な①の話し方のみ解説します。

 

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①反復(繰り返し)

論理的な話し方をするために、まず覚えておいてほしいのが同じ結論(意見・主張・帰結・考え・メッセージ)を繰り返すことです。

 

反復(繰り返し)もまた、対称性と同じように折り紙のモデルで理解することができます。

 

例えば、「繰り返しになりますが…」というような表現を使って、結論部分を強調するのは非常におすすめです。

 

思い込みを疑うことは、自由な生き方をするうえでとても大事です。

 

なぜなら、思い込みを疑えなければ、家庭や学校で受ける教育を信じ続けたり、社会の常識・偏見・差別・レッテルなどに縛られ、その外側に出られなくなるからです。

 

————-【折り返し線】————-

 

(少し時間が経って)

繰り返しになりますが、自由な生き方をするために、思い込みを疑うことほど重要なことはありません。

 

ここでは、少し時間を空けて同じような話を繰り返しているのですが、論理的な話し方をするうえで、こうしたセリフの反復はとても効果的です。

 

なぜなら、同じセリフを繰り返す限り、齟齬(ズレ)が生じることはありえないからです。

先ほどの事例と同様に、一枚の紙にインクを落として折り返せば、同じ模様が簡単に複製(コピー)することができます。

 

プレゼンで同じセリフや考え方を繰り返し話すとき、話し手は紙(テキスト)の同一的な折り方をしている訳です。

 

プレゼンでは、ぜひあなたが伝えたいメッセージを何度も繰り返して話すようにしてみて下さい。

 

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◆補足:論理性と一貫性

論理性は、話の一貫性や説得性といったプレゼンの他のクオリティーと深く関係しています。

 

※こちらの記事で、一貫性のある話し方をする方法をご紹介しています。

プレゼンにおける「話の一貫性」を保つ方法

 

話の一貫性を保つには、プレゼン全体で一番重要な結論・メッセージ部分を核として、それをいわば同心円状に拡大して話を展開することが重要なのですが、

 

これは折り紙のイメージを持つことで可能になります。

 

 

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プレゼンで論理的に話すための最良の方法は、話の展開を折り紙のモデルで理解することです。

 

このような方法であれば、必ず話の展開や構造が整然とした形になり、厚みや説得性のある話し方ができます。

 

応用的な内容ですが、このイメージで論理的な話し方の感覚を掴めると、プレゼンで話すのが一気に楽になるので、ぜひ試してみて下さい。

 

 

 

 

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