あらゆるスピーチやプレゼンには、ある隠れた共通の「目的」があると考えられます。
それは、聞き手に対して、何らかの新しい気付きを与えることです。
これは人前で話すことの目的は、認識の変化を起こすことと言い換えることができます。
人前で話す行為というのは、より根本的なレベルから捉えると、
聞き手の「認識の変化・変容」に関わる活動である、と考えられるのです。
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スピーチやプレゼンの目的を、聞き手の認識の変化にあるという考え方は、実践上においても極めて重要な解釈です。
なぜなら、話し手がどのような意図・目標を持っていたとしても、
聞き手がそれによって新しい気付きを得て、認識が変化しなければ、これまでと異なる新しい考えを持ったり、自発的な行動が起こることはないからです。
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話し手には、通常、スピーチやプレゼンを通じて達成したい目標を持っています。
例えば、
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講座開催する場合➡特定の分野・テーマの知識、情報、考え方などを伝えたい
ビジネスシーン➡商品・サービスに関心を持ってほしい
コーチングのシーン➡クライアントに具体的な行動を起こしてほしい
学会発表のシーン➡自分の研究成果の独自性や新規性を訴えたい
etc…
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プレゼンは、多くの場合、聞き手に何か行動を起こしてもらうために行われます。
典型的なのは、ビジネス・シーンで行われるプレゼンです。
例えば、起業家や経営者が、自社が提供している商品・サービスについて、このように考えているとします。
「もっと多くの人々にこの商品・サービスの素晴らしさを知ってもらい、そして、実際に購入して欲しい」
このプロセスが実現するまでには、必ず
認識の変化:なるほど、このサービスを受ければ、〇〇〇が実現できるかもしれない
↓ ↓
行動の変化:このサービスを受けたい、購入しよう!
このように、聞き手の行動の変化には、それに先立つ認識の変化が必ず伴います。
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「人前で話す行為の根本的な目的とは、聞き手の認識の変化・変容を促すことにある」と考えた場合、そのプロセスを次のように整理できます
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1.初期認識
2.過程認識
3.最終認識
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順番に確認していきましょう。
1.初期的な認識(所与の認識)
スピーチ、プレゼンで扱われるテーマについて、聞き手が予め抱いている印象・理解・考え方などのことです。
2.過程的な認識
スピーチ、プレゼンを聴きながら、聞き手の中で少しずつ変化していくそのテーマについての理解のこと。
3.最終的な認識(目的的な認識)
スピーチ、プレゼンが終了する時に、聞き手がそのテーマについて持つ最終的な理解・考え方・認識のこと。
話し手の側からすると、聞き手が最終的に持つ認識(最終認識)は、聞き手に持ってほしい認識です。
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人前で話す行為には、個々の具体的な目標よりも、さらに根本的なレベルに共通の目的が存在します。
スピーチ、やプレゼンの質を高めようと考えた場合、全体の構成を上手く組み立てるための設計の考え方が重要になります。
全体の構成を設計するとき、「プレゼンの根本的な目的は、聞き手の認識の変化・変容を促すことである」と理解することは、
より深く厚みのある話し方をするうえで一つの指針となるかもしれません。
少しでもご参考になれば嬉しいです。
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